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1:雑貨屋さん
しとしとと雨が降る。
静かなお店の中には涼しげで落ち着きをくれる雨音とぺらりぺらりと本をめくる音が響いていた。
カラカラと戸を開ける音がお店の中に響く。
「お、おじゃましまーす」
「いらっしゃいませ、ゆったりして行ってくださいね」
「は、はい」
その日は1人の「人間」の女性が訪れた、年の頃は15か16程だろう。
髪は肩にかかるほど、明るい栗色の髪を揺らしながら彼女は緊張した様子で店へと入ってきた、そして彼女は店長であるミズと言葉を交わす、ミズは落ち着いた声で彼女を歓迎し、また彼女もその落ち着いた声で緊張がほぐれたようだった。
彼女はしばらく店の中を歩き、商品棚を見て回った、ぺらりぺらりと静かな空間に本をめくる音が響く。
子供が好むような菓子、洗剤やスポンジなどの日用品、ちょっと不思議な置物から彼女が「かわいい」と言葉を漏らすような人形、何に使うのか分からないような道具など様々な物が置かれている。
彼女は珍しい物をみた、楽しい物をみた、そんな浮かれたような気分で、あまり広いとは言えないこの店の中を時間かけて見て回っていた。そして棚を半分も見てしまわない頃にふと何かを疑問に思ったのかミズに一言問いかけた。
「すいません」
「はい、なんでしょうか」
「このお店はなんのお店なんです?」
「この店、ですか。この店は雑貨屋ですよ、ちょっと食べたくなるようなお菓子、可愛げのある物に日用品、ちょっと専門的な道具、いろんなものが置いてある雑貨屋さんです」
そうミズは彼女に答えた、彼女はそんな風に返されると思ってなかったのか少し固まっていた。
くすっとミズが笑いをこぼす、その音で彼女はふるふると頭を振り、恥ずかしかったのか顔を少し赤らめ慌てるようにしてまた棚に向き直った。
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