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「二つ目のヒントは、『赤色の線』……か」ぼくは独り言とも、夜琥への問いかけともとれる程度の語勢でポツリと零した。
夜琥はそれに返答はせずに、表情を綻ばせながらぼくを見つめていた。
これは、理由を問われれば「何となく」としか云えないものなのだが――その夜琥の表情だけで二つ目のヒントは『赤色の線』で間違いないと、ぼくは確信する。
自分の中で二つ目のヒントが確定したところで、ぼくは三つ目のヒントを夜琥にお願いした。
夜琥は相も変わらずに楽しそうだった。
三つ目のヒントを云う前に、夜琥はある前置きをぼくに伝えた。
「ヒントはこの三つ目で最後だからね」
それを聞いて前途は多難だということはハッキリと分かった。それでも一言、「頑張るよ」とだけ答えて、ぼくは最後――三つ目のヒントに希望を求めた。
ゆっくりと三本の指を立てて、夜琥は告げる。
「最後のヒントは――『今年、千明は私にプレゼントを用意しなくても良い』です!」
「………………え?」
まったくもって予想外のヒントに、自分が混乱しているのがハッキリと分かった。
最後の最後で、一番難読なヒントが来てしまった。
――『プレゼントを用意しなくても良い』?
これもまた、このヒント自体を解き砕く必要があるものだった。
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