0人が本棚に入れています
本棚に追加
ひとまず、ぼくはすでに夜琥に贈るプレゼントの大体の目処は立てているので今年も問題はなさそうなのだが――問題は記念日当日の予定の方だ。
いつもであれば、ぼくたち二人の想い入れがある洋菓子店にて甘味を嗜みつつお祝いをするのが大筋の流れなのだが――先程の他愛ない会話の中で、夜琥が最近甘いものを控えるようになっているという話も出ていた。だから今年は少し流れが変わる可能性があり、そこはきちんと予定をお互いに確認しておく必要があったのだ。
そんな風に考え出してから間もなく、夜琥が戻ってきた。
ぼくは早速――
「夜琥、そろそろ記念日の――」
戻ってきた夜琥に、記念日の予定の打ち合わせ話を持ち掛けた時だった――
「打ち合わせの前に、ここで千明にはあることを推理してもらいます!」
夜琥がぼくの話題を遮る形で切り出した。
「い、いきなりだな」ぼくは僅かに呆気にとられた。
出鼻を挫かれた――とも表現して良い程に夜琥のその言葉は唐突であり、どこかに既視感を覚えつつぼくは話についていこうと必死に反応する。
「えっと……推理? なんでまた?」
「今年の私が贈るプレゼントが決まったので、それを推理してもらって――当ててもらおうと思って!」夜琥はとても楽しそうに話す。
最初のコメントを投稿しよう!