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こういう時にたまに、『夜琥が楽しそうなのであればそれで良いや』と思ってしまうのは――良くも悪くも夜琥に対する愛おしさなのだろう。
ぼくは、「やれやれ」と首を僅かに振りながら――
「そういうことね。……わかったよ」夜琥の言葉に同意した。
「ありがとう! じゃあ、推理に必要なヒントを小出しで云っていくねえ。解答権は一度きりじゃないからヒントのたびに答えてもいいからね!」
「はいはい」ぼくは小さく頷いた。
「それでは、一つ目のヒント――」夜琥は人差し指を立てながら笑顔で言葉を続ける。
「一つ目のヒントは……、『今日の今までの会話』です!」
「アバウトか!」夜琥のヒントの幅の広さに、ぼくは思わず突っ込みを入れた。
「ええ? これ結構大きなヒントだよ!」
ぼくの突っ込みに対して夜琥は頬を膨らませているが、その素振り程怒っているという訳ではなく――やはりその表情からは楽しんでいる様子が伺えた。
さすがに一つ目のヒントだけでは全く見当がつかなかったぼくは、一つ目では解答することなく、二つ目のヒントを訊くことにした。
「二つ目のヒント――」そう云いながら夜琥は二本指を立てて――
「『二月十四日にお菓子を包むラッピングの紐の色は、主に何色の線が多いでしょうか?』です!」と云った。
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