偶像/ピノキオ

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「んー?」 「これ、シュークリームじゃないんだけど」 「うん、シュークリームが有名なお店なんて知らなかったから、一番おいしそうなパイ買ってきた」 「ああ、そう」  昔から、何も変わらないいい加減さだ。私は紙袋のロゴを見た瞬間、シュークリームの気分になっていたから、中身を見てとんでもなく落胆したんだけど、ルナはたぶんどうでもいいって思っている。気持ちを切り替え、箱の中のパイを見下ろす。パイはパイで、甘くてちょっと香ばしい香りが漂ってきて、昨日から何も入れていない胃袋によく効く。うん、評判のお店だし、これはこれで、絶対おいしい。  食器棚にある数枚しかない皿を取り出し、そこにパイを並べる。パイは四つ。私たちは二人。どのパイも持つとけっこうずっしりしているけど、今日のうちに全部食べるつもりなのだろうか。……食べすぎだ。でも、今日は特別。包丁を取って、すべてのパイを半分こ。見た目通り、すべてのパイの味はそれぞれ違うようだった。 「パイってあっためる?」 「んーん、そのままでいいや」 「わかった     
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