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「うわって」
「だって、ミュージカル方面に進んでるんだろうなって思ってた子に、アイドルグループ作ろうと思っていますって言っている事務所で会ったら、びっくりしない?」
「まあ、そりゃあ驚くだろうけど」
「私、けっこうな確率でセンターいけるって思ってたから、なおさらがっかりしてさ。うわー、ルナがいたら厳しいかもしれないって」
「歌乃、あのときそんなこと思ってたんだね」
「そうだよ」
「超睨んでくるから、そんなかわいいこと思ってたなんて微塵も思わなかったわ」
「私、負けず嫌いだから」
絶対負けない、絶対センターに立つ。そういうことばかり考えていて、それが目線にこもってしまっていたのだろう。
「でも、ルナだって似たようなものだったよね」
私が睨んだのがきっかけになってしまったのだろうけれど、ルナもこっちをじっと睨んできた。事務所の偉い人に「ちょっと二人で話でもしていて」と置き去りにされた私とルナは、無言で五分くらい睨み合うことになった。
「そりゃあ、負けん気が強くないとミュージカルなんてやってけないって。特に私がいた劇団、すっごい厳しいところだったからさ」
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