38人が本棚に入れています
本棚に追加
報告
後日、智和は亮太がいる事務室へ足を運んだ。
「お、いらっしゃい。なにか成果はあった?」
亮太は椅子の上でクルクル回りながら聞く。
「お前が睨んだ通り、早見さんが犯人だったよ」
智和は亮太の隣に腰掛けた。
「おっ、じゃああの白いのとかわかったわけ?」
亮太は回るのをやめると、前のめりになって聞く。
「わかったけど、秘密。でももう備品がなくなることはないから。それじゃ」
智和がそう言って立ち上がると、亮太は不満を口にする。しかし智和は聞こえないふりをして事務室から出た。
「あっ……」
ちょうど通りかかった早見さんは智和を見ると頬を染めた。
「やぁ、早見さん。走り書きは読んでくれたかな?」
「はい、読みました。あの、よかったらこれ受け取ってください。私の連絡先です。連絡取れた方が、都合がいいかと……」
早見さんはモジモジしながら言う。
「ありがとう、あとで登録してショートメール送るよ」
「はい、待ってます」
早見さんは目を輝かせる。
「うん、じゃあまた」
「はい」
早見さんは嬉しそうに返事をすると、小走りでその場を後にした。
「亮太も呼ぶのは、いつ頃にしようかな」
智和は彼女が駆けていった廊下を見ながら、楽しそうに呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!