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「おぉ…なんとも理想的な箱だぜぇ…。家に帰ってから開けるか~?いや、もしかしたら手紙とかで呼び出しをしてるかもしんねぇな…」
少年の妄想は膨らむばかりだ。机の上のこの夢広がる箱のリボンを少年は慎重にほどく。
ゆっくりと蓋を開けると、少年の顔は曇った。
「なんだぁ…こりゃあ…?」
そこには、先程の箱より小さい金属製の箱が入っていた。バレンタインのファンシーな雰囲気には、似つかわしくないものだった。
上の面には、デジタル時計のような赤い電子数字で、30:00と表示されていた。
「なんだ…?最近のバレンタインってのはこんなのが流行ってるのか?あまりに自分に縁がなかったせいか、いつの間にかこういうのがトレンドってやつなのか?」
少年が首を傾げていると、ヒラリと紙が落ちた。もしや、本当に呼び出しの手紙?と期待しながら拾い上げると、こう書いてあった。
″お前が開けたその箱は時限装置である。暗号を解いてみせよ。″
「へっ?」
訳が分からずにいると、ビーー!と大きな音がなり、装置がカウントダウンを始めた。
「な、なんだなんだ?時限装置?チョコじゃあねぇのか?って待てよ…この重厚な感じ…規則正しいタイマー…そしてこの手紙…もしかしてこりゃあ…」
少年の頭にとんでもない考えが浮かんだ。
2月14日。今日はバレンタインデーである。しかし、チョコかと思ったら……。
「ば、爆弾ーーーー!!??」
「ど、どーすんだよっ!?こいつぁ、俺一人には荷が重すぎるぜっ!」
誰もいない教室で一人少年は慌てふためく。
「そ、そうだっ。先生に言わなきゃ。いや警察か?」
などと考えていると、手紙の続きが目に入った。
″ちなみに、この事は誰にも知られてはならない。″
少年の助けを求める手立ては易々と崩された。
「ちくしょー!いや、待てよ…こういうのは赤と青のコードがあって、どっちかを切れば止まるってのが相場だよな」
少年は箱を観察してみる。するとタイマーが見えるガラス付きの上蓋が外れるようだった。
「よっしゃ、二分の一には自信があるぜっ」
少年は勢いよく蓋を外し、
「げぇっ!!」絶句した。
蓋を外すと、リミットを刻むタイマーと二本どころではない様々な色のコードがこれでもかというぐらいに敷き詰められていた。
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