チョコ?爆弾?

3/8
前へ
/8ページ
次へ
「おぉ…なんとも理想的な箱だぜぇ…。家に帰ってから開けるか~?いや、もしかしたら手紙とかで呼び出しをしてるかもしんねぇな…」  少年の妄想は膨らむばかりだ。机の上のこの夢広がる箱のリボンを少年は慎重にほどく。  ゆっくりと蓋を開けると、少年の顔は曇った。 「なんだぁ…こりゃあ…?」 そこには、先程の箱より小さい金属製の箱が入っていた。バレンタインのファンシーな雰囲気には、似つかわしくないものだった。  上の面には、デジタル時計のような赤い電子数字で、30:00と表示されていた。 「なんだ…?最近のバレンタインってのはこんなのが流行ってるのか?あまりに自分に縁がなかったせいか、いつの間にかこういうのがトレンドってやつなのか?」  少年が首を傾げていると、ヒラリと紙が落ちた。もしや、本当に呼び出しの手紙?と期待しながら拾い上げると、こう書いてあった。 ″お前が開けたその箱は時限装置である。暗号を解いてみせよ。″ 「へっ?」  訳が分からずにいると、ビーー!と大きな音がなり、装置がカウントダウンを始めた。 「な、なんだなんだ?時限装置?チョコじゃあねぇのか?って待てよ…この重厚な感じ…規則正しいタイマー…そしてこの手紙…もしかしてこりゃあ…」  少年の頭にとんでもない考えが浮かんだ。  2月14日。今日はバレンタインデーである。しかし、チョコかと思ったら……。 「ば、爆弾ーーーー!!??」 「ど、どーすんだよっ!?こいつぁ、俺一人には荷が重すぎるぜっ!」  誰もいない教室で一人少年は慌てふためく。 「そ、そうだっ。先生に言わなきゃ。いや警察か?」  などと考えていると、手紙の続きが目に入った。 ″ちなみに、この事は誰にも知られてはならない。″  少年の助けを求める手立ては易々と崩された。 「ちくしょー!いや、待てよ…こういうのは赤と青のコードがあって、どっちかを切れば止まるってのが相場だよな」  少年は箱を観察してみる。するとタイマーが見えるガラス付きの上蓋が外れるようだった。 「よっしゃ、二分の一には自信があるぜっ」  少年は勢いよく蓋を外し、 「げぇっ!!」絶句した。  蓋を外すと、リミットを刻むタイマーと二本どころではない様々な色のコードがこれでもかというぐらいに敷き詰められていた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加