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「赤、青…オレンジ、灰色ぉ?紫まである…なんだこの沼みてーな色は?とにかく、ありすぎてわからん!」
どうやら相場のようにはいかないらしい。
(暗号…てのを解くしかねーのか…?でもよ~俺、他の人より頭よえーんだよなぁ)
少年には解ける自信がまったく湧いてこなかった。
「マジかよっ!?あと25分!?」
あれこれ悩んでいる内に5分もムダにしてしまった。
「くっそー!やってやらぁ!」
そして、少年は手紙の続きを読み始めた。最後の欄にはこう書かれていた。
″R2 K1 S2 T3 装置を持ってここに行け。″
「これが、暗号…?ジョーダンじゃねーよっ、俺は理数系は得意じゃねーんだよぉ…」
少年の目に飛び込んだ英語と数字。少年にとってはいきなり挫けそうな暗号だった。
「あれ…?待てよ…こういうの最近どっかで見たような…」
自分の頭を巡らせる。まだ頭の深くまでは潜っていない記憶を探りだす。
「そうだ…。テレビだっ。脳トレクイズの番組で見たぞっ!」
少年は唸りながらも、出演者がどうやって解答していたかを必死に思いだす。
「…思い出したっ!こいつはローマ字入力だ!例えばRは、ら行のことで、数字はその行の順番ってことだ!」
少年は急いで答えを導きだす。タイマーを見ると、もうすぐ10分が経過するところだった。
「てことは…この暗号は…り、か、し、つ。理科室だっ!」
少年は箱を抱えて、教室を飛び出した。
そして現在に至る。
目的地の理科室まで、全力疾走で向かう。階段をかけあがり。曲がり角の先に人がいる可能性も考えずに少年は走った。
少年の目が理科室を捉える。扉を勢いよく開け、中に入った。理科室特有の薬品の臭いが鼻をつく。
「着いたっ!けど…こっからどうすんだ?」
少年は辺りを見回す。すると、黒板に一枚の紙が貼ってあった。少年が駆け寄ると、紙にはこう書いてあった。
″正解だ。頭の弱いお前でもこれぐらいは解けるか。それでは、下のニッパーで、灰色のコードを切れ。″
少年が下のチョーク置き場を見ると、確かにニッパーが置いてあった。
少年は急いでそれを掴み、
「よっしゃあ。これで、解決だ!」コードを切った。
これで止まる。そう思ったが、タイマーは止まらない。残り時間は17分を切っていた。
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