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「なんだよ…止まらねえじゃねえかよ!」
少年がもう一度紙を見ると、下に続きがあった。
″第一段階はクリアだ。次の暗号はこれだ。
男はその橋を、各色の帯のはばが、音楽の音階の間の高さに対応していると結論付けた。その色のコードを切れ″
「わかるかぁぁぁぁーーー!!?」
理解できない暗号に対し少年は叫んだ。
「なんじゃあこりゃあ!ほんとにわかんねぇっ!」
少年は頭を抱える。さっきの問題は偶然テレビで見たことがあったのでなんとか答えられたが、今回に関しては、皆目見当がつきそうになかった。
「音楽の音階ぃ~?俺は芸術の点もよろしくないんだよぉ…。しかも、第一段階って、あとどんだけあるんだよ…」
少年がうなだれていると、外の方でパラパラと音が聞こえてきた。見てみると、本降りとまではいかないが、雨が降っていた。
「雨降ってんじゃん、傘持ってきてねーよ…」
タイマーはあと15分と示していた。頭をひねっても答えることができない問題に、諦めかけていた。そのとき…
『実は、ニュートンが七色だと決めたのだ』
「っ!」
少年の頭にある言葉と、一人の少女の姿が浮かんだ。
(なんだ…?なにか思いだしそうな…)
『どうだ?知らなかっただろう』
少年の頭に出てきた少女は得意気に言っていた。
「そうだ、この問題…マジで意味不明なわけでもないかもしれねぇ…」
少年は、問題と記憶の交互を頭に巡らせながら、考えた。
「俺は、数学も英語も芸術も得意じゃねーけど、記憶力だけは自信あるんだぜ!」
必死で考える。タイマーの電子音に焦りそうになる。
「虹だ…」
少年は呟く。頭に断片的だった記憶が抑えを失った水のように溢れた。
「そうだ!虹だ!万有引力の法則でお馴染みのニュートンが、虹は七色だと決めたんだ!」
少年は再びニッパーをとり、箱のコードと向き合う。
「赤、オレンジ、黄色、緑、水色、青、紫…よしっ全部あるなっ」
少年は各コードを切った。間違えて違うやつを切らないように慎重に。
「…………」
止まらない。タイマーは相変わらず、規則正しく動いていた。残り時間、12分。
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