長谷川京子

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長谷川京子

「長谷川京子?なんだか聞いたことが、、、。」 何が女をそうさせたのか、気づけば電話をかけていた。 長い呼び出し音が耳の中で鳴り響く。 やっと繋がったその先に、微かに聞こえる見知らぬ声が。 「はい、どちら様でしょうか?」 聞いても分からないその声に、少し間が空く。 「あの?もしもし?」 女はその声にやっと返事をする。 「えーと、すみません。 長谷川京子さんでしょうか?」 「はい、そうですが。 あなたは?」 「私は山下若葉と言います。 あの、急にこんな話をして変かと思われるかもしれませんが、実は私誘拐されたんです」 案の定とも言うべきか、女の話に京子は無言になる。 「もしもし? 知らない人からこんな電話がきたら無言になるのも仕方ないと思いますが、本当なんです! お願いします、信じてください!」 「今なんて?」 「ですから、お願いします! 今だけは信じてください!」 「そうじゃなくて。 名前。 何て言いました?」 「え?名前? 山下若葉ですが」 またしばらく無言になるが、次の瞬間思いもよらない返事が返ってきた。 「ふふ。 久しぶりね。 それにしても、よく私に電話なんかできたわね。 何?また私を苦しめたいの? 誘拐だって、嘘なんでしょ?」 何を言っているのか理解できず、女は慌てる。 「久しぶりって、私あなたのこと知りませんよ。 それに誘拐は本当なんです。 信じられないかもしれないけれど、、、」 「私のことを知らない? そう。 あなたにとって私はその程度の存在なのね。 でも、私は忘れてないし、忘れられない。 あなたにされたことを。 信じてたのに、、、」 「あの、人違いじゃないんですか? 同姓同名の人だっているでしょ? そんなことより、お願いだから話を聞いてよ」 「そんなこと? あれのどこがそんなことなの? それに、決して人違いなんかじゃない! その声は私の知る山下若葉よ。 同じ山吹商事に勤めていた!」 ※ここで選択です。あなたなら京子の話に「合わす」or正直に「分からない」と言う? それぞれのタイトルへ。
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