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「だが、まあ、『来ちまったものは仕方がない』ってやつだ。どうだ、連中が人間じゃないってのが理解できたか? 塵からできたからって、本当に塵になるやつがあるか? さあ、どうだ?  やるか? それとも、やらないか?」  老人の言葉は最後通牒だった。引き金にかかる指には震え一つなく、薄闇の向こうの顔には、仄かだが笑みすら浮かんでいる。 「あんたは、弟を殺した」  青年は、そう言った。  老人はゆっくりと首を振った。 「違うな。お前の弟は、俺じゃない奴が殺したんだ」 「あんたが殺した! 今、さっき殺したじゃないか! あんたが、殺したんだよ!」  老人は前に出ると、青年の眉間に銃口を突きつけた。 「そういう事にしたいのか? まあ、いいがね。だが、とりあえずは、お前を――」  老人の懐から、ブーッと小さく音が鳴った。 「また、誰か来るんですね。その人も殺すんですね」  青年が口の端を上げる。だが、続けて老人の懐が鳴り続けた。  ブーッ  ブーッブーッ  ブーッブーッブーッブーッブーッ  老人は銃を降ろすと、見張り台に向かって走り出した。まだ、懐が鳴っている。 「来い! 猫の手も借りなけりゃならん状況だ!」  青年はしばらく躊躇った後に、結局見張り台に向かって走り出した。
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