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「さっきも言ったように、連中は『出現』した後、しばらくはボンヤリしてるんだよ。だから、ハッキリするまでは、道なりに歩くだけなんだ。まあ、個体差があるから、すぐにシャッキリする奴もいるがな」  戸惑ったように辺りを見回す女性が、青年の視界に入った。あっと声を上げる間もなく、老人は、その頭を撃ちぬく。女性は崩れ落ち、人ごみの中に消えて行った。 「いや、だから、僕が言ってるのは、どうしてこんなに大勢歩いてきているのか? ということです。いつもじゃない、とすると、一体どうして?」  老人は、マッチを壁に擦りつけると、煙草に再び火を点けた。 「いつもじゃない状態になった、ってことだろうな」 「……どういうことですか?」 「ここには通信機の類はない。連中に見張り台を乗っ取られた時の為の用心にな。だから、向こうで何が起こってるかなんてのは判りっこない。  だから、まあ――」  下からの銃撃音が再開した。老人も弾を装填しながら、七発撃つ。 「想像する事しかできん。まあ、当たってるだろうけどな。新兵、連中の着ている服を見ろ」  青年は目を凝らす。 「さ、様々な服を着ています。スーツ、Tシャツ、コート、民族服、軍服、ええっと……」 「綺麗な服だろう?」 「は?」     
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