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『隕石が造り上げたコピーは、任意のコピーを造り出せる』
だから、お前さんの弟は都合よく戻ってきたんだぜ?
老人は笑うと、真っ黒な天を見上げる。
俺がいつもやってるように、お前さんもやったのさ……。
一体何度、青年のコピーを呼び戻したのだろうか?
一体何度、同じことを繰り返せばいいのだろうか?
一人で耐えられるのは、精々二年が限度だ。それ以上になると、眠っている間や、ぼうっとしている間に、いつの間にか青年がコピーされて来てしまう。
そして、一体、自分は何度コピーされてきたのだろうか?
誰かに撃たれたのだろうか?
自分で撃ったのだろうか?
あいつを確かに撃った。だが、その後の記憶が曖昧だ。煙草を咥えていたような気がするが、今は咥えていないのも、気に食わない。
ずっと隠れている誰かが、いるのだろうか?
それは、もしかして俺なのだろうか?
あいつなのだろうか?
あいつの弟?
それとも――
ここは何処なのだろう?
太陽が無い。
月もない。
星すら見えない。
ずっと、俺はここで銃を撃ち続けるのだろうか?
老人は再び裂け目を覗いた。
この服がこの裂け目を満たすのに、どのくらいかかるのだろうか?
老人は目を上げた。
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