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 あれが汲み取る想いは『ランダム』なんだ。距離も強さも関係ない。思い通りに動かせないんじゃ意味が無い。偉大なる指導者を戻そうと思ったら、近所の婆さんでしたってんじゃ仕方ない。百年間祈り続ければ、そのうち当たりを引くかもしれんがね。どっちにしろ、確実な即効性が無いんじゃ、ガラクタさ」  青年は、はあと気の抜けたような返事をした。 「次に――あれが戻すのは、『人間』じゃあない」 「……は?」 「コピー。影。まあ呼び名は何でもいい。ともかく『連中』は人間ではない」  青年は困惑した顔になった。 「人間ではない? それを銃で撃って殺せるんですか?」 「ああ。血も流れているし、臓器の位置も同じだ。体温も脈も人のそれだから、確認するのも簡単だ。ただし、思考するから、ぼうっとしたうちに撃たんと、隠れられて面倒な事になるな」 「そ、それは――人間じゃないですか!」  青年は拳を握ると、立ち上がって叫んでいた。  老人は口の端を上げる。 「ほう……連中は飯を食わんのにか?」 「は?」 「水も飲まん。成長もせんぞ」 「そ……それは――」  老人は煙草を取り出すと、咥えた。 「連中は時間が止まってるのさ。『在りし日の思い出』がノコノコ歩いてくるわけだよ。恐ろしいと思わんか? 虚しいと思わんか?」  黙ったままの青年を睨みながら、老人はマッチを壁面に擦りつけた。瞬間、お互いの顔が、そして表情がはっきりと見える。  青年は悟った。  この人とは相容れない、と。     
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