いいこと十二個

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 三年生のとき、好きな男の子ができた。私はバレンタインの日に、いつも買っているチョコレートを箱ごと男の子にあげた。男の子は、快く受け取ってくれたけど。 「手作りじゃないんだ」  同級生の女の子は、私が彼にチョコをあげたことを知って苦笑いした。女の子は、お姉さんぶるのが好きな子だった。 「手作りのが、愛があるよねえ」  馬鹿にしたように笑った。  手作りって、愛があるかな? 私は首を傾げた。  私はチョコが好きだから、手作りチョコの"まずさ"を知っている。溶かして固めたチョコは、白いのが出て全然綺麗じゃない。美味しくもない。  だから、私は、私の一番好きなチョコをそのままあげた。  このころ買っていた自分用のチョコは、ビターチョコだった。ビターと言っても苦みはほんのちょっとだ。ちゃんと甘さがある。  だけど、その日のチョコは、いつもより苦く感じた。
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