廃墟の占い師【問題篇】

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廃墟の占い師【問題篇】

 今はもう使われていない廃墟と化した館の中で、占いを生業としていた女性が遺体で発見された。部屋の中央に大の字になって仰向けに倒れており、後頭部にはまだ乾ききっていないどす黒い血痕が付着している。警察は、女性の足元にレンガ石が転がっていたことから、視界が悪い中レンガ石に足をとられ転倒――つまり不慮の事故という見方を強めていた。 「しかし、何だって占い師がこんな薄気味悪い廃墟になんかいたんだ?」  篠田警部は部屋の奥に据え置かれた棚に近づき、棚上の透明な水晶玉に皺の目立ちはじめた顔を映す。警部の隣に立った私は、妖しげな輝きを放つ水晶玉を覗き込みながら口を開いた。 「占い師がここにいた理由はまだ不明ですが、ひょっとするとこれは事故ではなく殺人かもしれません。篠田警部、もう少し慎重に捜査してみたほうがいいかもしれませんよ」 Q:なぜ「私」は、占い師の死が殺人だと推理したのでしょう?
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