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「いえ、手帳を届けにきた・・・」
だけで、と言おうとしたが彼女の関西弁に言葉を遮られる。
「ほんまにありがとう~!まぁまぁ!とりあえず入って~。」
 ̄ ̄ ̄ ̄
背中を押されるように部屋の中に促された。
すると部屋の中は小さいオフィスになっていて
、ちゃんと灯りが揚々とついていて明るく、外観とは全く違っていた。
いわゆるオフィス用の机が4台向かいあうように置いてあり、もう1人眼鏡をかけた男性が席に座っていた。
「あっ!あのメガネかけてる人は日本秘密調査課の職員で私の旦那やねん~!」
「そうなんですか!」
「・・・よろしく。」
その旦那さんと言われる人は一見、真面目そうで無口な感じの印象だった。
「あっ!あの僕は手帳を返しに来ただけで、昼間のカフェで忘れてらっしゃたみたいで。」
「私忘れたんや!?全然気付いてなかったわ~ありがとうね!」
僕はいそいそとカバンから手帳を出して渡した。
すると旦那さんがボソッとつぶやいた。
「・・・めぐみ、名刺。」
「あっそっか!石田さん、私が渡した名刺って持ってる?」
「はい、これですか?」
昼間にカフェでもらった名刺を渡す。
奥さんが名刺に息をかけると、すると名刺から火が立ち上ぼりボッ!と音を立てて燃えて消えてしまった。
「ごめんね。一応、一般の人には秘密調査課の場所も存在も知られたらあかんくて・・・。ここも結界を張ってて、万が一落としたりしたら、ね?」
奥さんは普通にニコニコ話しているが、燃えた名刺に僕の目は丸くなっていた。
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