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「遅くなってすみません!」
秘密調査課が入っている雑居ビルに着いたときには、もう随分と辺りは暗くなっていた。
「いえいえ、お疲れ様でした。」
まだ旦那さんは仕事をしていた。
ポーカーフェイスで顔に笑みこそなかったが、言葉から優しさが感じ取れた。
「これが今日、調査してきた分です。」
「ありがとうございます。」
僕は旦那さんから預かっていた霊力マップを渡した。
「どうでしたか?式神の扱いは少し慣れました?」
「いや全然で・・・。嫌われてるのかな?って。」
「式神も生き物ですからね。これからお互い慣れてくると思いますよ。あっ、その式神は石田さん専用なので、家に連れて帰ってもらっていいですよ。」
「いいんですか?」
「くれぐれも一般の人には見られないようにして下さいね。」
「分かりました!・・・また何かお手伝いできることがあれば連絡下さい!」
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手紙が届いたときは、あれだけ秘密調査課のことを遠ざけていたのに、不思議と今は自分から進んで知ろうとし始めていた。
それからと言うもの、秘密調査課に来るのが僕の楽しみになってきて毎週こちらへ顔を出していた。
4月に入った頃から秘密調査課は本格的に忙しくなり始めた。
今年は4年に1度の京都会議の年らしいので、それに向けての仕事がプラスされ平田夫妻は一段と、特に奥さんが一人でバタバタとしていた。
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