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「おいっ石田、大丈夫か?」
呆然と立ち尽くしていると先輩に顔を覗きこまれ僕はハッと我に帰った。
「あっすみません。大丈夫です!」
「知ってる人?なんか関西弁でめっちゃ話てたな。」
「僕もビックリしました・・・あっ、席取ってきますね!」
「あぁじゃあ飲み物頼んどくわ!何がいい?」
「それじゃあ・・・キャラメルラテのアイスでお願いします。すみません。」
普段は甘いものはあまり飲まないが急に甘いものが飲みたくなった。
 ̄ ̄ ̄ ̄
窓側に2席向かいあってる席が空いていたので、とりあえず荷物を置いて先輩の手伝いに戻ろうとしたとき、4人組の観光客っぽいおばちゃん達に声をかけられた。
「お兄ちゃんお兄ちゃん。これ、さっきそこの席に座ってたお姉ちゃんが忘れていったみたいでね。お兄ちゃんに声かけてたから知り合いかと思って。」
はいこれ、と渡されたのは手帳だった。
「店員さんに渡そうと思ったんだけど、あの混みようじゃ声かけづらくてね・・・」
「「秘密調査課の女の人の手帳?
逆に店員に渡るとなんかヤバい気がする・・・」」
「・・・僕から渡しときます。すみません。」
「ごめんね~悪いね。それじゃあね!」
4人組のおばちゃん達は、次は浅草いくー?など楽しそうに話をしながらお店を出ていった。
 ̄ ̄ ̄ ̄
「大丈夫か~?次はおばちゃん?今日は良く声かけられんなー。」
先輩が両手にコーヒーカップを持って戻ってきた。
もらった名刺も、預かった手帳も誰にも見られてはいけない気がして自分のカバンにギュッギュッと隠すように押し込めた。
「「そういえばここのカフェ・・・」」
メールに書いてあった面会の場所はここのカフェだったことを僕はすっかり忘れてたいた。
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