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『お返…ししし…お…おがえし…するぅ…』
青白い顔で、恨みがましくこちらを睨みつける男。
下半身の無い透けた身体。
その男と私は対峙する。
「駄目よ。あなたにお返しを、させるわけには
いかない。」
私は自分の背後に置いてある箱に目線を向けながら
言う。
その箱は綺麗にラッピングされており、一眼で
誰かへのプレゼントだとわかる。
その箱の四方を清められた石で囲み、その石には
呪をかけた札を貼ってある。
この結界により、この男はこのプレゼントの箱に
近寄る事も出来ない。
『うぅ…うううう…ぁああああああ!!』
焦れた男が勢いに任せて飛びかかってくる。
私はそれを避けながら呪文を唱える。
「退けたまへ…我が雷を汝に与えるっ喝っ!!」
『う!ぐぬぬ!!…おのれ…諦めない…諦めない
ぞぉぉぉ!』
男は仰け反り、私に恨み言を垂れながら霧散する。
「…はぁ!はぁ…!」
私は肩で息をすると、その場に座り込む。
勝った…。
汗を拭いながら、結界に守られたプレゼントを見る。
「…ごめんね。」
私はそう、呟いた。
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