喝っ!

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この始まりは…少し前。 私は母を早くに亡くし、父は私たち姉妹を育てる 為に必死に働いてくれていた。 帰宅はいつも終電の時間だったので、私たちが寝静 まった後に帰り、私たちが起きる時にはすでに出勤 していてすれ違ってばかりだった。 なので、私は自然と妹の母親がわりになっていた。 妹とは4歳離れていて、素直で甘えん坊な妹が私は 可愛くて可愛くて仕方がなかった。 なので、高校1年生になった妹に彼氏が出来た時 にはかなりのショックを受けてしまった。 でも私の心配に反して、妹とその彼氏はラブラブ で、仲睦まじく、ちょっとウザいぐらいだったけど。 次第に二人の仲を私は認めていったのだった。 妹とその彼氏は、お互いに付き合って◯ヶ月記念! と称してプレゼントを月ごとに交互に渡し合って いた。 「今回は私がプレゼントを渡す番なの!」 と、きゃっきゃとはしゃぐ妹のプレゼント選びに 付き合わされ、二人の仲を認めつつも妹の彼氏に 嫉妬する私に、妹はこっそり私へのプレゼントを 私のカバンに潜ませておく…なんて小憎らしい事を してくれて。 だから。 だから…。 妹の彼氏が、交通事故で死んでしまったって、 連絡があった時は、私はそのショックよりも、妹が どうなってしまうのか心配で心配でたまらなかった。 妹の彼氏のお葬式の時からずっと、妹は以前の ような明るさが消え、いつもいつも目を赤く腫ら しながら、沈み込んでいた。 だから。 だから…。 妹の彼氏が、妹へプレゼントのお返しを用意して いたのだと、妹の彼氏のご両親から知らされ、妹に 渡してほしいと私に預けられた時には、私は妹に これを渡すべきか迷ってしまった。 だって、これを妹に渡してしまったら、妹は、 そのプレゼントのお返しに、後を追って死んじゃう んじゃないかって、怖かったから。 私は妹宛のプレゼントを、妹に見つからないように 鍵のかかる引き出しにそっと隠す事にした。 それからしばらくして、異変が起こった。 妹の彼氏が、出た、のだ。
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