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突貫の修行だったので、完全に除霊する程の能力は
得られなかったが、結界を張り、霊を一時的に霧散
させて退散させるぐらいの事は出来るようになった。
修行から帰ると、妹から「な、なんかお姉ちゃん
身体が逆三角形になったね…」と若干引かれたが、
構わない!愛する妹を守る為だもの!
そうして、妹に自らの最後のプレゼントを渡したい
妹の彼氏と私との攻防戦が始まり、現在に至る。
「ふぅ。」
…妹の彼氏は、日に日に力を増している。
このままだと不味いな、と私は焦りを感じている。
コンコン
私の部屋の扉がノックされる。
私は慌てて妹の彼氏のプレゼントを見えないように
隠し、ノックの主に返事を返す。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
妹がお茶を入れて持ってきてくれた。
「うん?何が?」
私はシラを切る。
「…なんか、お姉ちゃんの部屋から…最近よく大声が
聞こえるから。」
と心配そうに言う。
「なんていうのかな、なんか…その…厨二…ぽい…?」
と言いにくそうにゴニョゴニョと付け足す。
「えっと、お姉ちゃんね、最近真実の力に目覚めた
のよ!だから気にしないで!」
自分は笑わせるつもりで言ったのだが、
「うん。が、頑張ってね。」と妹に神妙な顔で返さ
れてしまったので、私は冗談だよ!と言う機会を
失ってしまった。ううむ。
妹も最近は精神的に安定し、逆に私の事を心配そう
な顔で見つめる事が多くなってきた。
…ちょっと想定外だが、妹が元気になったなら、
それだけで、私はいい。
そして…何度目かの妹の彼氏からの襲撃。
私と妹の彼氏は再び対峙し、互いに睨み合っていた。
そんな時。
「お姉ちゃーん。充電器貸して!」
出かけいていると思っていた妹が、私の部屋の扉を
開けた。
「!!」
『!!』
「!?」
空気が凍りつく。
「え…何…なんで?」
妹の目は彼氏に向けられていた。
「…見えるの?」
私は、動揺しながら妹に聞く。
妹の目は彼を捉えながら、ゆっくりと頷く。
妹の彼氏の力はその執念から日に日に強まっていた。
だから、霊感の無い妹にも、その姿が見える程の力
を得ていたのだ。
私は私の迂闊さに下唇を噛んだ。
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