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2 ― Tukumogami side ―
佳代子が、一つずつ丁寧に、冷蔵庫で冷やされたチョコを俺の中に入れていく。
手つきに人柄や気持ちが出ている。あわてん坊で抜けていることもあるが、一途で真面目なやつだった。
三年前のバレンタインに、佳代子が売れ残りだった俺を買っていった。店の中を何十分もウロウロと歩き回って、迷いに迷って、検討に検討を重ねた末に俺を選んだ。
一回目のバレンタインは、他の大勢いるライバルに遠慮と物怖じした挙句、何もせずに終わった。
翌年の二回目は、当日の夕方前までかかってチョコを作り上げたが、試食して味に全く自信がなくなり、結局諦めた。
三回目は、同じゼミになったと喜んでいたが、相手と会う手はずが整えることができずに、チョコは作ったものの俺を使うこともなく終わった。
そして、今年が四回目だった。
佳代子が、俺にワインレッドのリボンをかける。
「ふふっ。可愛くしてあげるね」
輪の大きさを調節させながら、バランスよく結んでいた。
最後に、ハードカバー本より少し大きい程度の白い紙袋に入れられて、終わりとなる。
「準備万端だな」
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