君だけが消えた理由(記憶喪失)

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 医師にそう言われてかろうじて気を取り直したリョウ。翌日もせっせとアヤの病室に通った。 「アヤ、何か欲しいもんない?着替えしたくない?体気持ち悪かったら拭くよ」  花の水を替えて、雑多に散らかった周辺を片付ける。 アヤはたまにリョウを見ることはあったが、相変わらず何も答えない。 「な、退院したらどうしよっか。そろそろ桜咲く頃かなあ」  言いながら、手を握る。頬に触れる。 久しぶりの感覚にすっかり心地よくなっていると 「そういうの、やめて下さい」  けっこうな力で振りほどかれた。 「な、俺とアヤは、そういうこといつもしてたんやで。俺はいつでもアヤに触れてたいよ」 「何言ってるんですか?いつもしてた?は?どういうこと?」  ますます不快な顔つきになって声を上げるアヤ。 「つまり……俺らは付き合ってるの。俺はアヤ大好きやし、アヤも俺のこと……」 「ふざけんな!男同士で何言ってるんですか?…気持ち悪い」 「気持ち悪いって、アヤは昔から」 「もう帰って、そして二度と来るな」
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