33人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
香り。
リョウがアヤを好きになった一因とも言える、煙草と香水のほんのわずかな、でもひどく安心する一方でなぜだかドキドキする香り。リョウはそれを嗅ぎとったのだ。
誰からも返答がなく、リョウはさらに不安になる。
もし本当にアヤだったら、こんな姿死んでも見られたくない。
「なあ……アヤ、なん……?」
こわごわ声を発した唇が震えている。アヤは叫び出したかったが、
「お前が見てるって知ったらそれはそれは絶望するだろうな」
というカマキリの耳打ちに、静観するしかなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!