触れたくない、触れられない(モブレ)

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 香り。 リョウがアヤを好きになった一因とも言える、煙草と香水のほんのわずかな、でもひどく安心する一方でなぜだかドキドキする香り。リョウはそれを嗅ぎとったのだ。 誰からも返答がなく、リョウはさらに不安になる。 もし本当にアヤだったら、こんな姿死んでも見られたくない。 「なあ……アヤ、なん……?」  こわごわ声を発した唇が震えている。アヤは叫び出したかったが、 「お前が見てるって知ったらそれはそれは絶望するだろうな」  というカマキリの耳打ちに、静観するしかなくなった。
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