触れたくない、触れられない(モブレ)

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 もともとアヤにはほんの少し加虐嗜好があるものの、リョウと付き合ってからはリョウを大事に思う一心でその欲には蓋をしてきた。恋人である自分ですらこんな意地悪をしたことがないというのに、と、また意識がおかしな方へと向かいそうになる。そんなこと考えている場合ではないのに。  そう思えば思うほど、アヤの中には状況に相応わしくない思考ばかり芽生える。遠目からきちんと見たことのなかったリョウの裸体は、無駄な贅肉や過剰な筋肉がついておらず、とても均整が取れていて美しかった。こんなに手足も長かったんだな、などと見惚れてしまう。 だから、そんな場合じゃないって! 自ら叱責してみても自分が浅ましく思えて虚しいだけだった。
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