33人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドから薄手のブランケットを持ってきて、掛けてやるついでに抱きしめる。
「遅くなってごめんね」
囁くと、リョウの肩が揺れ始めた。
「リョウ?」
「アヤは…アヤは、なんで俺のこと好きになってくれたん?」
唐突な質問に面食らったが、そんな場合ではない。
リョウの瞳から流れ落ちる雫を止めるのが先だ。
「俺アヤのタイプやないし鈍臭いとこしか見られてないしわがままばっかりやしアヤの前では全然カッコつかへんし、早いし、さあ」
ああ、これは。
アヤは合点がいった。
リョウの酒癖。
酔うと容赦なく本音が爆発するという酒癖。
まだこんなに不安なんだ。
まだまだ、伝えきれていなかったのか。
『愛してる』では足りないのか。
溢れんばかりの感情を、愛情を、伝える手立てを知らず、もどかしい。
最初のコメントを投稿しよう!