33人が本棚に入れています
本棚に追加
ブランケットの中に二人で潜り込むように抱き合い、唇を重ねた。
パジャマの裾から手を入れて、ゆっくりやわやわと肩、脇腹、臍を撫で下ろすと、それだけでもう二人の息は熱く激しくなっていった。
「…こんなことしかできないけど、助けになってる?」
欲を含んだリョウの切ない瞳に、同じ欲を宿した自分が映っている。
リョウは頷いて、体を預けてきた。
「愛してる、リョウ」
リョウは何も答えなかったが、涙でびしょ濡れの顔をくしゃくしゃにして笑った。
全身くまなく愛してやると、好い声で啼く。
爪先に触れた時、昂り始めていた劣情がすうっと引いていった。
あり得ないほどに、冷え切っている。
酒を飲んで顔は熱を持っていたから気づかなかった。
カップから手を離した指先も、背中も、異様に冷たい。
「体調悪くない?」
「寒い」
おかしい。
今は秋、しかも今夜はそれほど冷え込んでいない。
アヤは帰宅したてのワイシャツにインナー姿で充分快適だ。
リョウのパジャマは薄手ではあるがネル生地。
さらにおかしなことに、熱でもあるのかと髪をかき分け触れた額にびっしょりと汗をかいていた。
「俺の気持ち、重くない?鬱陶しくない?」
そんな体調でも、リョウにとってはこちらのほうが重要らしい。
「全然。もっと欲しい」
リョウは一瞬目を丸くしたが、直後嬉しそうに笑った。
「嬉し…アヤ大好き」
「うん。今夜はもう眠って」
額についた前髪を優しく払いながらアヤが言うと、リョウは静かに目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!