33人が本棚に入れています
本棚に追加
Sleep in the cold(死別)
「ただいま」
仕事から帰ったのは23時。
やっぱり今夜も遅くなってしまった。
せっかくリョウが来てるのに。
おかえり、と小さな声が聞こえたような、聞こえなかったような。
朝出た時とはすっかり別の部屋になったような、綺麗に片付いたリビングへ行くと、ソファの上で膝を抱えているリョウがいた。赤をベースにしたタータンチェックの大きめのパジャマに身を包んで、マグカップを両手で持っている。
「ただいま、どうかした?」
ひょいとアヤが顔を覗き込むと、
「あ、おかえり…」
見上げる大きめの瞳は潤み、頬は紅潮している。
そして、アルコール臭。
「何飲んでるの」
カップに鼻を近づけると、梅酒の良い香り。
お湯割りにして飲んでいるようだ。
「ひとり酒?待っててくれれば良かったのに」
「あ、うん、ごめん。ちょっと、寒くて」
最初のコメントを投稿しよう!