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覚悟を決めろ(オメガバース)
「なんで……平気なの」
「平気って?平気やと思う?平気なわけないやろ?」
依然笑顔は崩さないまま、もう一度アヤを抱きしめた。
「ごめんな、俺がずっとついてたら、アヤをこんな目に遭わせることなかったのに」
「リョウは何も関係ないだろ、俺が油断したから」
「違う、不可抗力やろ。仕事中、雇用主から複数でそんなことされて防ぎようないやん。でも、よかった。最後まで犯されんで、噛まれてなくって、ほんっまによかった……!」
しみじみと改めて安堵の溜息を吐き、リョウはアヤにキスの雨を降らせる。
「誰にも指一本触れさせないって言ったのにごめん、約束したのに、ごめ」
雨が止んだだけでなく、リョウの全ての動きが停止した。
リョウが初めて見る、アヤの涙だった。
「謝ることないやろ、アヤは何も悪くないのに。それより辛かったやろ、怖かったやろ、悔しかったやろ」
壊れ物を扱うように、アヤをそっとベッドに横たえた。
「…昨日の今日でこんなことすんの嫌かもしれへんけど……上書きさせて?」
「リョウは平気?途中までとはいえ、他の奴に…」
「アヤが無事やったから、もういい。アヤはなかなか忘れることなんかできひんと思うけど、俺はもう気にせんとく。だってアヤは今までと変わらん、アヤはアヤやもん」
「こんなのもう要らないとか思わないの?オメガで、他の奴に……」
「だーかーら!もう気にせんとくって!気にしたところでどうにもならんやろ?大好きな俺のアヤに変わりはないもん」
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