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「…高見さん…」
電話口の溝口が焦れたように、言った。
「…一度だけです…」
考えた挙句、私は、言った。
「…部長とお約束したように、一度だけなら、お受けします…」
「…ありがとう…本当にありがとう…」
電話口の溝口が、心底、感謝するように、言うのが、聞こえた。
それから、見合いの相手と、会う場所と日時、時間を告げた。
「…それと…」
「…なんですか? 部長…」
「…今さら言うのも、なんだが、相手の方は、普段の高見さんを見たいそうだ…」
「…普段の私を見たい? …どういうことですか?…」
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