大阪の女やさかい

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 俺の名は、隆寛。今は、たかひろである。  その俺は、悩んでいる。  今付き合っている彼女、半同棲中の絵里香に バレンタインデーに手作りのチョコレートをもらった。  彼女は売れっ子のキャバ嬢。  仕事ととはいえ、お客にチョコをプレゼントしているだけに、 お返しも多いであろう。  しかも、キャバクラに入れ込むお客だけに三倍返し、いや 彼女の気を引くために十倍返しかもしれない。  困った。実に困った。  俺は、昼間はバイトで、夜はバンドのボーカル。  はっきり言って、金は持っていないが、本命の彼氏としての 誇りと意地は持っている。  ココは、料理は愛情、胃袋をつかめと考えたが、彼女は 大阪の女やさかい、美味いものもぎょーさん知っている。    悩みに悩んだ俺は、男の手料理で勝負。  普段の俺とのギャップを狙うことにする。  ふわふわとろとろのオムライスだ。   それも、赤いトマトケチャップじゃなくて、白いホワイトクリームだ。  ホワイトデーのその夜、結果は大成功を収め、ピンクのハート マークが飛び交い、次の朝の太陽は黄色かった。
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