一章/学校にて

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「……今は見逃そう」 「うん、……ありがとう」 「だが」 響き渡る俺の逆説に、そっと凛の目が注がれる。彼女を見つめ返して、低く呟いた。 「……今夜こそ、待っていてほしい。黒い白鳥が、君を迎えに来る」 俺の言葉に、長い沈黙が冴える。彼女の不思議そうな瞳は、真剣な顔の俺を淡く写していた。俺の言葉の意味を、彼女はまだ理解していないようだった。 「なぞなぞ?何かの故事?」 「……この言葉が解けるのは、夜までのお楽しみだ」 そう言って、俺は首を傾げる彼女に笑いかけた。
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