8.ラベンダーと向日葵

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「私ね、ベタ惚れなんてされてないし、付き合ってもいないの」 「……ん?」 頬を伝う涙も構わず、呆気に取られる兵藤さんも構わず、私達がこうなった経緯を大雑把に話した。 ホテルでのことなど、創さんのプライバシーに関わることは伏せられたと思う。 そもそも創さんの目的は女避け。 それなら男性である兵藤さんに話しても大した問題ではないだろうと、勝手に結論した。 創さんとの秘密を手放したくなかったけど、どちらにしろ創さんを好きになってしまった私は、彼女役失格だ。 さっきのキスの時の言葉ではっきりした。 創さんと一緒にいるためには私は気持ちを隠さなければならない。 そうすれば、役目を終えるまでは創さんに大切にしてもらえる。 偽の彼女だとしても。 でも、それなら私の想いはずっと届かない。 「話は、分かったけど……」 いつも明るい兵藤さんが、頭を抱えた。
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