11.優しい風に吹かれて

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*** 「で? なんて答えたんだ?」 創さんの部屋。夕食の片付けを終えソファでくつろいでいた所に、創さんがホットコーヒーと緑茶のカップを持ってきてくれた。ガラステーブルに置き、私の隣に座る。 「なんだと思います?」 「……私は信じてます」 「違います」 クスクス笑う私に、創さんは面白くなさそうにソファの肘掛けに肘をつく。 「“創さんは仕事が忙しいから、浮気なんてしてる暇はないの”」 「……よく覚えてたな」 「美帆ちゃん笑ってました」 「本当に行くのか?」 創さんに手伝ってもらい引越しの手続きを終え、部屋の引渡しも済んだ。 この東京(まち)に、私の家はもうなくなった。
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