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「はい、もう園長先生にお返事もしてあるので」
もしも私が、母園で働くことを決める前に創さんとこうなっていたら。きっと東京を離れるという選択はしなかった。
これでいいんだと思っているのに、引き止めて欲しいと、離れ難く思って欲しいと思ってしまう私はワガママだ。
創さんのことをどんなに信じていても、彼を好きだからこそ、いろんな“もしも”が頭を過ってきてしまう。笑って強がっても、不安がないわけない。
「両親に、もう少し親孝行もしたいんです」
「そうか」
短くそう言った創さんは、どうとも付かない表情でホットコーヒーを飲む。
「創さん」
「ん?」
「私の採用は、産休に入る先生の代わりなんです。とりあえず1年という約束で……。それで」
創さんはガラステーブルにカップを置き、ふと私の方を見て少し目を見開いた。
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