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ちゃんと目で見て確かめたくて、膝の上で震えそうになる手をゆっくりと開いた。
出てきたのは、創さんの体温で温まっていた、見覚えのある小さな鍵。
「いつ来てもいいし、住んだって構わないよ」
「っ……。鍵は簡単に渡しちゃいけないって、創さんがっ……」
創さんの言葉を何度も反芻する。私は嫌がられる覚悟だったのに、まさかそんな言葉までもらえるなんて嬉しすぎてうまく返事が出来なかった。
「俺は結花が思ってるより、結花のことが好きらしいな」
真っ直ぐな彼の言葉で、その宝物に私の涙がポタッと落ちた。
部屋に人を入れるのが苦手なんでしょう?
なのに……。
「はは、まだ慣れないな。この手触り」
創さんは泣きすぎだと笑いながら、私を抱き寄せそっと私の顔を隠すさらさらした髪を捲ると、とても優しいキスをしてくれた。
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