1667人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
『ピンポーン』
お父さん、お母さんとリビングでお茶をしていたところで、年季が入って少し音の小さなチャイムが鳴った。
「創くんじゃない?」
お母さんが嬉しそうに言う。
「出てくるね」
彼に会うのは3週間ぶりなので、待ちきれずインターホンの画面も見ずに玄関に急ぐ。
今日、私は電車で行くからいいよと言ったのに、「迎えに行く」となぜか頑なに譲ってくれなかったのだ。
お母さんが玄関掃除で履く健康サンダルを履き、鍵を開け、玄関扉を押して開けた。
「…………えっ」
突然目の前にワサッと現れたのは、向日葵、ラベンダー、かすみ草……の大きな花束。
反射でそれを受け取ると、目の前にはスーツに身を包んだ創さんが、優しい顔をして立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!