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1.私の幸せ
彼との出逢いは高校1年の秋。
約10年もの付き合いだった。
父親の昇進により、突然山形から群馬へ引越しすることになってしまった私は、新しい高校になかなか馴染めずにいた。
2学期に入り、当然もうグループが出来ていたし、元々の引っ込み思案な性格や、声をかけてくれる男子にモジモジしてしまったことでも、女子達を遠ざけてしまっていたのかもしれない。
“ぶりっ子”
そう、囁かれたことがあった。
ただ言葉の訛りが恥ずかしかっただけなのに。
その時の私は、その誤解を解く勇気さえなかった。
それから1ヶ月ほど経つ頃には、登校することさえ辛くなっていた。
私と同じく新しい地で頑張っている両親にそれを相談できるわけもなく。
そんな時声をかけてくれたのが、当時3年生だった雨宮将貴だった。
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