1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
完璧でかわいい後輩とバレンタインデー
白銀美月は完璧である。成績優秀、容姿端麗、頭脳明晰____そんなありきたりな言葉で飾れないほど。成績は常に上位にあり、授業や課題でも一切の手は抜かない。テストしかり、先生と友人との付き合いしかりだ。次期生徒会長としても呼び声が高いとも聞く。その中でも特筆すべき彼女の魅力はその美貌にある。髪は繻子のごとく流れ、黒目がちの大きな瞳は一度見た人を離さない。白い肌に華奢な肩幅。均整のとれた、年齢相応のしなやかな体つき。周りと比べてやや長めになっているチェックスカートから黒いタイツに包まれたすらりした脚が覗く。
同じ高校生なはずなのに(しかも年齢に至っては私の方が一つ上だ)何もかもが違うように見えるのは、いったいなぜなのか。全く教えてほしいものである。
昇降口から彼女が出てきたのを確認して軽く手を挙げた。飲みかけの缶コーヒーを片手に、門に預けていた背中を浮かせる。小走りになった彼女の足取りは軽い。手持ちのスクールバッグに揃いで買ったお守りが揺れる。
「真昼先輩、」
弾んだ声音が冬の空気を震わせる。
私は笑みでそれに応える。
「今日も寒いね」
「そうですね」
相槌を返し、笑顔が深まる。
「遠回りしてく?」
「もちろん、喜んで」
最初のコメントを投稿しよう!