解けないのなら溶けてしまいたい

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「ねぇ....俺の事離さないんだけど..イったの..。」 「んっ、ごめ....」 「いいよ..そんなによかったんだ..。」 彼が、腰の動きを緩める。 覆いかぶさるように、抱きしめられて。 その身体の熱さに、私は苦しくなる。 今の私達の関係は、なんと表現するべきなんだろう。 友達というほど親しくなれなかった。 恋人のような必要かつ依存的関係でもない。 セックスフレンドのように楽しい関係でもない。 それなのに。 私は、侵されてしまった。 彼の世界で1番綺麗な顔を見れるのは、私だけであってほしいと。願ってしまった。 私達が抱いてはいけない想いに。 甘い毒のような好意に。 それは、解くことができない、呪いのような毒。 「ねぇ....俺も出していい?」 私が、答えるよりも早く。 彼は腰を、激しく動かす。 少し汗ばんだ肌と肌がぶつかる音が響いて。 「ん! ね、だめ....っ、イったばっか..っ、だから、っ! 」 「でも、いいんでしょ、っ」 「んんっ..! 」 朦朧とする。 「名前、呼んで....っ、」 「ん、ぃっ、亮太..」 「っ、菜花....」 名前すら、こんな時じゃないと呼び合えない。 どうせこのまま解けない毒ならば。 解けない呪いならば。 それならばいっそ。 このまま本当に、貴方と1つになってしまえたら。 どんなに楽だろう。 どんなに、幸せだろう。 「っ、いっそ..貴方の中に、溶かしてよ....」 「え.....っ? あっ、」 「なんでも、んんっ、んっ! 」 「んっ、でる、っ.....」 ほら。こんな関係性だから。 私の言葉は、結局彼に届かない。 私は、 私達は、 お互いの慰め方を間違った。
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