解けないのなら溶けてしまいたい

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胸に触れる彼の手、が一瞬だけ冷たく感じる。 私の方が火照ったのかな。そう考えると少しだけ悔しいし、切ない。 彼の手で形を変えられ、私の意志に関係なく、胸元の突起は固くなって少し痛い。 それに気づいたのか、彼の舌は私の痛い部分に触れる。 ぞくりとした感覚が、また背中を這う。 「っ....。」 「こえ..ださないの? 」 彼は少し意地悪く微笑んで、突起を口に含む。 嫌でも声が漏れてしまう。 不本意だけど、私が悦ぶところを知っている。 経験値故かな。 その経験値が、私とだけの純粋なものなのか、不純物まみれの値なのかは、今は考えたくはない。 「..ね、俺のもして..? 」 時計の針の音が響くくらい静かな部屋で、彼の少し甘えた声はよく届く。低さや、掠れ方も、取りこぼしなく。 目の前に差し出されたそれは、大きく反り勃っていた。 初めて見た時は、もちろん彼以外のものだけど、グロテスクだなと思ってしまった。 私達は生まれ持たなかったそれに、若干の嫌悪感すら抱いた。 けれど、人としての歳を重ねる度に、愛しいものに思えてくる。 私もここ数年、ようやく躊躇してるのを顔や態度に出さず、以前よりはすんなりと口に含めるようになった。 右の端から舐めてしまうのは、私の癖らしい。 前回会った時、彼に指摘された。 でも直す必要性も感じないから、いつもどおり右から。 彼はきっと、また癖が出てる、なんて思うだろう。 ざまあみろ。 下から上へ。 舌先を細く固くして、唾液はたっぷりと。 ゆっくりと舐めていく。 私の舌が触れていない部分が、なくなるように。 先端を舌で弄って、唇を押し当てる。 彼は、私の頭を撫でる。 本当は、今にも私の頭を押して、自分のモノを口に収めて欲しいんだろう。 たまに後頭部に一瞬力を込めては、また私の髪を撫でる彼は、愛おしい。
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