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そう、飛行機会社は大がかりな、式典の様な葬儀を開いた。
いくつもの、棺桶。
中には骨も見つからず、遺品だけのものもある。
誰もが泣いていた。叫ぶ声もする。
その中で、身重の体を引きずり、両親と来た。
夫の両親もそこにいた。義母が深く頭を下げる。
義父は棺桶の間を縫う様に、息子を探していた。
機長もみんな即死、ドライブレコーダーで事故を調べるらしい。
飛行機会社の社長は深々と頭を下げ、何かマイクで言った。
会社の人達が、床に土下座するような姿に、白々しい!と食って掛かる人達もいた。
私には何もわからなかった。
音が、まるで聞こえない。
涙も出ない。
泣けたら、どんなに楽だろう。
泣いて叫んで、夫が戻るなら、いくらでも泣こう。
いくらでも、叫ぼう。
でもどんなに泣いても叫んでも、もう戻らないのだ。
義父が私達を呼ぶ、不思議とその声は聞こえた。
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