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夫が見せたかったのは、これなのだ!
なんて勇敢で美しいのだろう。
隊列を組み、どんな困難をも立ち向かう姿。
200羽の鶴たちは、まさに ≪ 風の鳥 ≫ だ!
その、風の鳥が私に勇気をくれた。
周りを見渡すとヒマラヤンブルーの青いケシの花が、咲いている。
岩にしがみつくように、咲く黄色の山野草。
こんな寒さの中でこんな高さの中で、植物も生きている。
鶴たちも、精いっぱいの翼を広げて、目指す南へ向かう。
インドへ、目指す大地へ。
生きて行こう!!
この自然の中の1部として、共に植物の様に風の鳥の様に。
力強く勇ましく、生きて行こう。
鶴たちは姿を消し、南へ向かった。
その鶴たちを私は確かにファインダーに収め、シャッターを切った。
幾つもの、シャッターの降りる音がする。
その音が夫の「頑張れ!」という声にも、聞こえた気がした。
ふと、振り返った。
カメラを提げ、声が聞こえた方へ視線をめぐらす。
誰かに、呼ばれた気がした。シェルパではない。
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