アネハヅル

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アネハヅル

           ::プロローグ::        彼女の首には、一眼レフカメラが、ぶら下がっている。 吐く息が白い。 一面の白の世界にゴツゴツした岩が隠れる様に、点在している。 彼女はそれを見上げ、ファインダー越しにのぞいた。 高みを目指す山頂。 雪を抱いた輝くほど、壮言(そうげん)な山々。 エベレスト山脈。 カシャカシャとカメラの音。  あの時、あの人は私に何を見せたかったんだろう。 何を教えたかったんだろう。
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