男女関係は突然に始まる

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口に運んで「これは!」と思った。溶けるような舌触り。バニラムースとチョコムースを一緒に口に運べば、 別々に食べた時とは違う味になる。チョコはビターでバニラは程よい甘み。二つが合わさることで、濃厚なのに後にしつこく残らない、上品な味わいへと変化する。 「めっちゃ上手いやん!」 「すごく美味しい!」 声がはもって、お互いに「あっ!」ってなって、目を合わせたら笑っていた。 「俺、絶対に他のケーキも買いに行くわ。」 「確かに。もっと色々なケーキを食べてみたい。」 チョコレートケーキとかショートケーキも食べてみたくなる。きっとこんなケーキを作れるお店の生クリームは格別な美味しさに違いない。 二人でケーキの味を堪能して、お酒も一緒に飲んだけど、店内に一箇所だけ設置されているソファーのテーブル席で、遠慮がちに手が上がったので、大和くんは行ってしまう。どうやらチェックのようだ。時刻はもうすぐ午前0時になる。この時間はチェックの客が増える。終電の時間が迫っているからだ。私もいつもならもう出る頃だ。ここまでは自宅から電車で20分程。午前0時過ぎが終電になる。 明日も仕事だけど……でも、いいや。今日はなんとなくもう少しここにいよう。街のクリスマスムードが去るまでは。帰りはタクシーに乗ってもいい。
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