モーニングコール 午前7時

男女関係は突然に始まる

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Polarisは午後8時オープンの午前2時にクローズとなる。客が多いのは午後9時から午前０時ぐらいまでで、午前1時を過ぎると、一人か二人程度しかいない。大抵は同業者で、近くで居酒屋やバーで働いている店員や店主だ。自分の店を閉め、「帰る前にちょっと一杯。」って感じでうちに寄ってくれる。同業者にも「いい店だね。」と褒められることも多くて、ありがたいことだと思う。

しかし、今日の最後の客はいつもと違った。

カウンターの茶色い革張りの背もたれ付きの回転椅子に体を預けて座っているのは、正木有栖さん。この店の常連さんだ。俺とは3歳年の差があるけど、話も合うし、店が忙しい時には、注文を待ってくれたりする気遣いのできるいいお客さんの一人だ。

有栖さんは終電に間に合う時間にはいつも店を出る。せやのに、今日は時計の針が午前1時を過ぎてもまだ店にいる。いや、いてくれるのは全然かまわない。大切なお客さんやし、ゆっくりしていってくれたらと思う。

もしかして本当はここで誰かと待ち合わせしてたんやろかとも思ったが、店に彼女以外に客はおらんし、外から新規の客が入ってくる感じもなかった。