一夜明けると残るのは後悔

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「いたっ!なんやねん!?」 「うるさい。」 「うるさいってなんだよ!?」 「優しくしないでよ、バカ。」 こんなことされたら、割り切るつもりでここに来たのに割り切れなくなる。 「関西人はバカやなくてアホなんやけど?」 私の言葉を交わすように、冗談で切り返して、大和くんは私の額にちゅっと唇を触れさせた。 「着替えてメイクするんやろ?早くしな。」 当たり前だけどはぐらかされた。「私のことどうして抱いたの?」なんて聞かないって決めている。魔が差した。それだけだから。そして、それはお互い様だから。 「あ、そういやケガは大丈夫なん?血は滲んでないん?」 膝を見たら、絆創膏は昨夜に大和くんが綺麗に貼ってくれた時と変わらない状態だった。浸出液が傷口を直そうとしているのか、少し盛り上がっている感じはある。 「滲んでない。」 「そんならええけど。予備の絆創膏も渡しとくわ。貼りっぱなしでいいって言っても、さすがに3日に1回ぐらいは貼り替えた方がええと思うし。」 「うん。何から何までありがとう。」 「……もし、自分で貼り替えるのが不安やったら、店に来てくれたら貼り替えてあげるよ。」 店に……。そりゃそうだよね。もう陽は昇った。数時間後には私はこの家を出る。そうしたら、私たちは今まで通りのバーテンダーと客の関係に戻るのだ。それが一夜限りの関係のルールだ。
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