一夜明けると残るのは後悔

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**** 随分と前のような気がしていた。自分以外の人間が朝から部屋にいるのは。目の前で有栖さんは、今にも頬が落ちそうな顔をして朝ご飯を食べている。こっちは大したものなんて作ってないのになと思うのに。 「今日はお休み?」 有栖さんの言葉に俺は首を振る。 「今日は開けてるねん。いつもは月曜日は休みやけど、クリスマスやから。明日まで店は開けて、明後日からは年末年始の休みにするつもり。」 ここが自営業のいいところで、自分の好きなタイミングで休みをとることができる。年末年始に実家に帰る予定はなかったけど、旅行には行くつもりだった。自分が小学校まで育った関西の方に。小学校時代の友達と会う約束もしていた。 「有栖さんは?年末年始はどないするん?」 「仕事だよ。福袋にバーゲンに。明後日と明々後日は休みだけど、後は仕事。6日にようやくお休みになるけど。」 「アパレル店員さんは忙しいんやね。」 「稼ぎどきだから仕方ないよ。」 もう慣れたよと言いたげに、有栖さんは渇いた笑みを見せた。正月に実家に帰ったことなど、ここ最近はないと以前に語っていたっけと思い出す。
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